「糖尿病と診断されたけど放置したらどうなる?」
「糖尿病は血糖値が高いだけで何か症状が出る?」
「糖尿病の合併症は怖いと言われたけど具体的にどんな症状?どうしたらいい?」
糖尿病と診断され、合併症について知りたいとお困りの方いらっしゃいませんか?
合併症の具体的な症状として、手足のしびれ、歩行困難、目がかすむ、足のむくみなどが起こります。そしてそのまま合併症を放置すると体の機能を失うおそれがあります。
合併症を防ぐには糖尿病の治療をしっかり行うことが大前提です。医師から指示された通院・服薬スケジュールを守りましょう。
今回は糖尿病治療を行ったうえで合併症もしっかりケアしていただきたく記事を書きました。本記事では、糖尿病の代表的な合併症とその予防法について現役薬剤師が解説します。
大切なご自身の体の将来のために、ぜひ最後まで読んでみてください。
糖尿病の主な合併症とは
血糖値の上昇により血液の濃度が高い状態が慢性的に続くと、血管の内壁が傷つき、詰まるなどして血流が滞ります。その結果、全身の血管を中心にさまざまな臓器の機能を失ってしまいます。合併症の多くは数年から数十年単位で進行し、進行するまで自覚症状がでないことが多いため注意が必要です。

血糖値が高い状態が長く続くことで起こる合併症ですが、今回は糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害について、それぞれの主な症状と予防法について解説します。[1]
糖尿病性網膜症
糖尿病により目の奥にある網膜を通る細い血管が傷つき、進行していくと眼底出血や網膜剝離(はくり)により失明することもあり、実際に成人になってからの失明原因の第3位は糖尿病です。また、血糖値の検査値HbA1c(へもぐろびんえーわんしー)が6.5%を過ぎると網膜症を発症しやすくなります。[1][2]

糖尿病性網膜症の症状
網膜は目に光を感じるために重要な役割を持ちます。網膜が傷つくと目に光を感じづらくなり、かすんで見えるまたは、まぶしく感じます。目に常に浮遊物やごみが見える、飛蚊症の症状がおこることもあります。[3]
糖尿病性網膜症の予防法
定期的な眼科検診を受けましょう。目の奥にある網膜をみるための眼底検査が行われます。具体的な頻度として、血糖コントロール良好な場合は1年に1度の受診が推奨されています。一方で血糖値のコントロールがうまくいかない方、すでに目が見えづらいなどの症状がある方、糖尿病にかかってから10年以上経過している方はより頻繁な眼底検査が必要になるので眼科医にご相談ください。[4]
糖尿病性腎症
糖尿病が悪化すると腎臓内の血管(糸球体)を傷つけて腎機能が低下します。[4]

腎症は進行すると血液中に有害な老廃物がたまり、尿毒症という命にかかわる重篤な症状になります。
腎症が悪化した結果、透析治療を余儀なくされるおそれがあります。実際に新規で透析治療を受ける人の約40%が、糖尿病性腎症が原因として透析治療を導入しています。
透析治療は機能しなくなった腎臓に代わり、一般的な血液透析は週に3~4回、およそ4時間かけて全身の血液を人工的にきれいにする治療です。血液透析はほかの治療に比べて時間や体力を定期的に消耗する大変な治療です。透析治療にすすまないためにもぜひご自身の腎臓を大切にしてください。[5]
糖尿病性腎臓病の症状
むくみや高血圧、貧血や吐き気などが続きます。自覚症状なく進行するので健康診断で腎機能低下やたんぱく尿など指摘されたら注意しましょう。
糖尿病性腎臓病の予防法
糖尿病性腎症において大きく影響するのは血糖値ですが、腎臓の負担を軽くするためにも高血圧を改善することが大切です。血圧を下げるためにも、禁煙や禁酒がおすすめです。
また、高たんぱく食を控えると腎臓の負担軽減につながります。
特に腎機能が下がっている方はタンパク質を体重1kg当たり1日0.6~0.8gに抑えましょう。[4]
糖尿病性神経症
糖尿病により血管が傷つけられると、細い血管からダメージを負います。神経周囲の細い血管傷つけられると、神経の働きが悪くなります。
神経障害がすすむと足の感覚がマヒしてしまい、やけどや外傷の痛みに気づかない場合があります。気づかぬうちに足の手当てが遅れてケガから潰瘍や壊疽(えそ:皮膚の組織が壊れて腐敗すること)が進行すると足の切断を余儀なくされ、歩行困難な状態に陥る危険があるためしっかり予防しましょう。
糖尿病性神経症の症状
全身の感覚や痛みを感じる末梢神経の働きが悪くなると、足のしびれや違和感につながるのです。具体的には、長時間正座した後のようなしびれ感、刺すような痛み、冷たくしびれる感覚などがあげられます。
糖尿病性神経症の予防法

糖尿病の神経障害は初期または軽度のうちに血糖値を下げると、症状がなくなるまたは軽減することが期待できます。しかし神経障害がある程度進行してしまうと、神経のマヒにより自覚症状がないため注意が必要です。神経障害からご自身の足を守るためにも、フットケアが重要になります。すぐに始められるものばかりですのでぜひ実践してください。[1]

上記のようなフットケアを行う際に、ご自身の足の状態をよく観察することが重要です。触ってみて感覚を感じづらいところがないかや、やけどやケガが悪化しているところがないかなど、こまめに確認してみてください。
糖尿病性神経症に対処するにはフットケア外来へ!
糖尿病が原因でおこりうる主な合併症と予防法について代表的なものを紹介しました。中でもフットケアはすぐに始めることができて手軽なためおすすめです。ご自身でのセルフケアを行うにあたり疑問点がでることがあるかと思います。そんなときはフットケア外来のある病院への受診がおすすめです。
フットケア外来のある病院へ行けば合併症についてご自身の病状の説明や、ケアの方法などフィードバックしてもらえるのでぜひ一度受診してみてください。
フットケア外来を受診される場合は主治医とよく相談の上、検討してください。
参考文献
[1]糖尿病学会 糖尿病合併症について
[2]厚生労働省健康日本21アクション支援システム 糖尿病の合併症
[3]日本眼科学会 糖尿病網膜症
[4]日本糖尿病学会 糖尿病ガイドライン2024
[5]公益社団法人 日本糖尿病協会
[6]日本透析学会 2023年透析導入患者の動態